
虚空蔵菩薩(求聞持法の本尊) 当寺蔵
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は、西方遥か勝華敷蔵如来の国の香り馥郁(ふくいく)とした世界に住する。また宝生如来の変化身として南方に在り、その徳を受持つ。さらに、東方の大荘厳世界の宝荘厳仏のもとにおいでになる。等々経典によって、その住居に異なりをみる。
虚空蔵菩薩の名前の由来
この菩薩の本誓である、福徳・智恵・攘災・などの徳が、すべての人々に満たされるように、広大かつ無辺であり、汲めども尽きることがないこと。またこの菩薩の誓願を破壊しようとしても、何ものをもってしても打ち砕くことができないこと。この二つの特性が、虚空のもつ性質であるところの、なにものをも包み込んであますことがなく、しかも、なにものにも破壊され得ない、というのに似ているから、虚空蔵菩薩と名付ける。。
虚空蔵菩薩の
胎蔵界曼荼羅では、虚空蔵院の主尊として蓮華座に結跏趺座している。肉色で白衣、五仏の宝冠を戴き、右手は光焔付き剣を持ち、左手は腰に当て宝珠のある蓮華を持つ。右手に執っている剣は宝剣であり、左手の蓮華台上の宝珠は万徳を生み出す標幟である。釈迦院には釈尊の脇仏として、右手に払子、左手には台に宝珠をのせた蓮華を持ち、右(向かって左)に立っている。
金剛界曼荼羅では、宝生如来の四親近の金剛宝菩薩と同体とみる。白肉色で、左手を腰に当て、右手の手は胸の前で掌を仰向けて宝珠を持つ。
さらに、求聞持法(ぐもんじほう)の本尊(上図)である。満月の中に金色身で蓮華上に半跏座(画像では結跏趺座が多い)して、面相は殊妙で喜悦相、宝冠上に五仏が結跏趺座している。左手は瑠璃色で黄色の光焔を放つ如意宝珠のある薄紅色の蓮華を持つ。右手は右膝の上で掌を外に向け五指を垂らした与願の印を結ぶ。月輪中に頭光身光を三本ずつの筋光として描くのを特色とする。求聞持法とは、詳しくは「虚空蔵菩薩能満諸願最勝心陀羅尼求聞持法」と云う。虚空蔵菩薩を本尊として心身を清く保ち、如法に真言を百萬遍誦することにより、一切の経文を暗記し理解することができ、宇宙に遍満する仏の智恵を一身に体得することができるとする秘法である。ここでは宇宙生命そのものを虚空蔵菩薩と観る。弘法大師が京の大学をやめて、唐(中国)に渡るまでの間の仏道修行時代に幾度となく修法された。この修法により大師は宇宙の大生命に触れられ、このことが後の真言宗の教義を展開する基礎となる。なお、求聞持法には如意輪観音を本尊として修する如意輪求聞持法もあるが、普通に求聞持法と云うと虚空蔵菩薩求聞持法を指す。
虚空蔵菩薩は、太陽、月に次いで明るい金星を神格化したものとも云われ、金星を明星天子と仰ぎ化身と見做す。
虚空蔵菩薩は、福徳・智恵・除災等を本誓とし学徳の成就、芸術・技能の上達、陸・海・空の守護、また十三参りの本尊。そして仏事では三十三回忌の本尊として、さらには丑・寅年生まれの人の守り本尊として等々、広く信仰されており私達にとって馴染み深い。
また、虚空蔵菩薩は、福徳・智慧を本誓とするところから、同体とみなされる尊が幾つかある。