お 経 の お 話 



お経は釈尊の教説を集めたものである。しかし、厳密に云うとお釈迦さまの、直接に云われたものを書き留めたものではない。お釈迦さまがお亡くなりになった後で、お弟子さん達によって、お釈迦さまのみ心を書き記したものである。お経によっては、お釈迦さまの言動を彷佛とさせるものから、高邁なる真理を展開しているものまである。千年以上の長きにわたって常に真摯に釈尊と向き合っていた人々によって編まれてきた。そこには、仏教の教理は勿論の事、説話や比喩などの文学作品のみならず、政治、経済、芸術、医学等々さまざまな分野に亘って記されている。
お経を言語で分類すると、主なものに、根本のサンスクリット語(梵語)、古代インドの一地域の方言であるパ−リ語、梵語を基盤につくられたチベット語、そして私たちに馴染みの漢語の経典がある。近年これらの言語から日本語に翻訳されたものもある。
内容よりみると、経(教説を記したもの)、律(戒律について記したもの)、論(経を解釈したもの)に分ける。この三つを三蔵といい、これに精通した僧を三蔵法師と呼ぶ。西遊記の主人公である玄奘三蔵が有名である。なお三蔵に分類されないものもあり、一般に仏教典籍をあつめたものを大蔵経あるいは一切経という。
現在、読誦されているお経は、各宗の開祖などによって大蔵経の中から各々の意図するところにより選びだされたものである。各祖師はその経典を通して釈尊と出逢い真理を体得された(悟られた)のである。